2012年、雲南の北端・昭通の地に待望の小学校が完成しました。
雲南省政府は近年、学校資源の節約と教育水準維持のために小学校の合併を進めていますが、翠華鎮中心完全小学校は協会として初めて支援する合併校で、今まで以上に多くの子どもが裨益対象者となることから、より効果的・持続的な支援成果が期待されます。
協会のほか、雲南省留学生聯誼会など複数の団体の寄付と地元政府の資金により建設されていた新校舎は、2012年無事竣工をむかえました。
2012年12月4日には学校主催の完成記念式典に雲南支部職員が参加し、一足先に開校をお祝いしてきました。
協会主催の「ふれあいの旅」は2013年5月4日~10日の日程で行われました。全行程に同行した平田栄一昆明特命支部長のレポートをご紹介します。
5月5日、大関県翠華鎮小学校を訪問。同校は、雲南省北部の中核都市昭通の中心部から北西に170km程行った、山の斜面に張り付くように街が開けた大関にあります。現在進められている学校教育制度改革によってこの地域の中心小学校となり、生徒約1400人、先生約90人が在学するマンモス校です。
協会が支援して新しくなった校舎はコンクリート作りの3階建て。「総合楼」と名付けられ、美術室や音楽室を備えた多目的校舎として活用されています。
昨年大関県も彝良県地震に巻き込まれ、二次災害で多くの犠牲者が出ました。また、この地域は近年「出稼ぎ農家」が多く、在校生のうち「災害孤児」あるいは「農村留守児童」(両親が出稼ぎで不在の児童)が40名程いるそうで、生徒1人に先生1人が付き添い、メンタルケアに力を入れているとのことでした。
翌6日、協会支援第15校木杆中心小学校を訪問。同校は大関の市街地からさらに北西へ100km程山を登った小さな村の、小さな小学校です。就学前児童から6年生までの約400名の生徒を9人の先生(最年少21歳の準教諭、最年長57歳の前校長。平均年齢40歳代)が指導しています。
協会が建設支援した校舎は風雨に晒されているためか、外見は大分汚れが目立ちますが、建物の状態は良好のようでした。われわれが学校に到着したときはちょうどお昼休み。校庭には給食を受け取る生徒が長い行列を作っていました。同校は雲南省の栄養管理校の一校に指定され、給食指導専門の先生が2名配置されているそうです。調理室を覗いてみると美味しそうな香りが溢れていました。
5月8日、協会支援第21校老村小学校を訪問。2年前に「小さな壁新聞」を届けに来て以来の訪問です。
同校は3年前に学校教育制度改革によって完全小学校から縮小され、現在は就学前児童から3年生(3歳から9歳)までの生徒約90人が5人の先生の指導を受けています。
校庭に入ってまず目についたのが、以前から倒壊の危険を指摘されていた職員宿舎と校長室があった棟が取り壊され、空き地になっていたこと。ようやく立て直しの工事が始まったそうです。
協会が支援した校舎は1階が教室、2階が生徒の寄宿舎として活用されています。校舎中央にある階段の1階踊り場で就学前児童の授業が行われていました。詳細な事情を確認することはできませんでしたが、教員宿舎棟が完成するまでの臨時処置ではないかと推測しました。
協会が「50の小学校プロジェクト」を開始しておよそ13年。この間の支援活動を取り巻く状況の激変を考えると、プロジェクトの前途は雲南の山道と同じかも知れません。今回初めて雲南を訪れた日本の方々は「子どもたちの素朴で純真な、明るい笑顔がとても印象に残りました」と感想を語っていました。
雲南の農村地域は少しずつ豊かになり、学校施設も整って来ています。それでも、行政の網の目からこぼれ落ちた農村や学校がまだまだたくさんあります。また、学校施設の改善と併せて、子どもたちの健やかな成長のために、地域社会を巻き込んだ衛生教育や社会教育の必要性を痛感しました。
(平田栄一=昆明特命支部長)
【ふれあいの旅参加者(敬称略・順不同)】峰尾勝美、峰尾洋子、近藤釼一、遠藤州、竹中良典、寺田聡、外川智大、東隆行、滝澤崇、平田栄一、雲南支部(中洲慶子、林娜)【現地協力】昭通市委統戦部、大関県委統戦部、翠華鎮中心完全小学校、木杆鎮中心完全小学校、日中友好木杆林区僑心小学校、昆明市帰国華僑連合会、日中友好尋甸県老村僑心小学校