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 初鹿野理事長と林理事は、普小剛くんが間もなく入学する武定県職業高級中学と、彼の自宅を訪問しました。普小剛くんは、2015年に初鹿野理事長と日本と雲南の学生たちが「第2回日本雲南大学生交流スタディツアー」で武定県を訪問した際に再会し、特別に支援した男の子です。

2015年 普小剛くんとの出会い

 当時は6歳で、泥だらけの服装で教科書もボロボロ、他の子ども達と比べても家庭の貧しさが際立っていました。両親は少数民族のイ族とミャオ族で、どちらも再婚同士、家族間で言語が異なり意思疎通すら難しく、両親共に学校に行けなかったため、彼も標準語を十分に話せません。厳しい経済状況から、彼は1年中同じ服を着て、寄宿舎に入るお金もないため、毎日朝6時に家を出て、暗闇の中を通学している状況でした。こうした状況でも、人懐っこく、無邪気で元気。友達から馬鹿にされても、その友達が大好きだと話す彼に、初鹿野理事長は、個人的に学費・生活費の支援を決意しました。
 スタディツアーの大学生と一緒に、彼をはじめてのお風呂に入れ、きれいな服に着替えさせ、歯ブラシで歯磨きすることを教え、清潔であることの気持ち良さを体感してもらいました。すると、自分できれいにすること、物を大切にすること、寄宿舎に入れるようになったことを、「とても嬉しい!おばさんありがとう!」と満面の笑みを浮かべて喜んでいました。

武定県職業高級中学訪問:座談会

 初鹿野理事長一行が武定県職業高級中学に到着すると、学校の前で普小剛が出迎えてくれました。久しぶりの再会を喜びながら、武定県職業高級中学(職業高校)の「3+2高校連携プログラム」について、校長先生よりお話を伺いました。初鹿野理事長は、校長先生と日本との交流や、技能実習・就職活動の機会の提供など、多面的に提携、共に子ども達の成長を見守っていこうと話をしました。加えて、普小剛くんの学習計画についても意見交換を行いました。  

「3+2高校連携プログラム」とは

 高校での3年間の学びに、専門技術を学ぶ2年間がセットになった取り組みです。それは、農村の余剰労働力の移転促進や、貧困世帯の収入増加を促進する目的で行われており(雲南省貧困地区労働力転移培訓基地)、畜産業や果物や野菜の栽培技術、煙草等の精製技術、工業技術などの、実践的な学びを生徒に提供することで、安定した就労・雇用の環境づくりを目指しています。

職業高校とは

 職業高校は、日本で専門高校と呼ばれる学校と同様の存在で、様々な職業に直結する勉強ができる学校です。一部の職業高校では、「3+2」の形をとっており、高等職業技術学院と協力して、5年間学んで、「大专」(大学専科;日本だと短大や高専に似たクラス)の卒業証書を取得することができます。

普小剛くんと家族と再会

 普小剛くんの両親は長年外へ出稼ぎに行っており、唯一恒例の祖母が彼と暮らしています。初鹿野理事長は久しぶりに普小剛くんの自宅訪問し、彼の祖母にもお会いしました。以前自宅を訪問した時は老朽化した古い家でしたが、今は貧困緩和のために、行政が建設した再定住住宅に引っ越し、広々とした明るい家で暮らせるようになり、生活環境も大幅に改善されていました。


 普小剛くんは普段、学校に通いながら祖母の面倒も見ています。将来は、高校で勉強に励み、自分の自転車修理工場を開いて、家族の生活を支えることが夢だと話しました。初鹿野理事長は、彼の将来へのビジョンや家族への責任感を感じ、協会の長年の支援活動はとても有意義なものだったと、祖母の前で、心から普小剛くんを励まし、一緒に学習目標も設定しました。目標点を達成したら、「小剛奨学金」を支援すると話しました。普小剛くんの家を出るとき、祖母は初鹿野理事長に自分の「鶏」を渡そうとしてくれました。それは、祖母のできる限りの心からの感謝であると、その心だけ受け取りました。今後もこのような国境を越えた協力と支援は、雲南省、および中国の農村教育に新たな可能性を開き、子どもたちに広い世界への扉を開いていくことだろうと思います。

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