皆さま、ご来場いただきありがとうございます。私たち認定NPO法人日本雲南聯誼協会は、21年間に渡り貧困少数民族地域の教育支援活動を行っています。この会場では、その知られざる雲南省の少数民族について、美しい文化やシンプルな生き方を紹介いたします。雲南省のもつ多様性ある世界について、皆さまの考え方や生き方に役立てていいただけるよう、そして日本が持っている豊かな知恵や文化を、雲南の人々やアジア全域の国への支援とつながることを、願いご紹介します。

雲南省はどこにあるの?

中国の南にある自然が豊富な省です。日本とほぼ同じ面積を持っていて、ベトナム、ラオス、ミャンマーに接しています。平地はごくわずか、94%が丘陵や山岳が占めています。気候は亜熱帯から亜寒帯まで、標高は南の約300mから北の6,740mという多様な環境により豊富な植物資源と中国で一番動物の種類が多い省です。人口は約4,900万人を超えていて、古来より少数民族が最も多く居住する特異な省です。

クイズ! いきなりですが、雲南省は多くの少数民族が住んでいますが、その少数民族の数はいくつでしょうか?。アイコンの数がヒント!

少数民族の生活と文化

25の少数民族の文化

雲南省の多様な自然環境は、移住してきた少数民族に棲み分けを可能にししました。それぞれの民族の持つ文化や技能を生かし高地から低地と山奥まで村を開拓し、また居住地を上手く混交させながら、多様な少数民族の生活が確立しています。それでは雲南省ならではの多様性に溢れる世界をご紹介します。

少数民族文化の象徴、祭りの紹介

地理的に多様な文化を持つ雲南省の祭りは、色鮮やかな民族衣装に彩られ、古来より変わらぬ華やかで特徴ある祭りが残されています。祭りは民族の歴史や文化の象徴であり、それぞれの美意識と民族の生き方を表しています。また自然と密接な生活を送る少数民族は、自然崇拝を基本とした祭礼が多く、豊穣を祝う一年に一度の楽しみの時でもあります。

火祭り(イ族)

山の中で育った少数民族にとって、聖火祭は静かで暗い夜に命を吹き込み、生命力を与え、神秘的な美しい古代の伝説を語り合うための大事なお祭りです。彝族(イ族)の人々にとって、火は過去を思い起こし、祖先への敬意を象徴するかがり火の周りに集まり、歌い、踊り、また遠くから来た客と一緒に祝います。

山祭り(ナシ族)

雲南省の少数民族の多くは山間部に住んでおり、山は彼らの神や精霊の住処となっています。 古代から現代に至るまで、衣食住や交通などの生活のすべてが山と一体化しているため、山の神を崇める山祭りを行います。

ナシ族(纳西族の人々は、山の神への崇拝を表現するために、年に一度、大人数で集まって山巡りをします。

花の祭り(イ族)

雲南省は「自然の庭園」、「植物の王国」と呼ばれ、その地理的条件から多種多様な花が存在し、その結果、少数民族の歴史的伝説や祭りによく花が登場します。

彝族(イ族)の人々は、ねむの木の下で花の神に酒を捧げ、礼拝します。色とりどりの花を摘んで花房にし、家や農機具、家畜などに飾り、豊作と繁栄を祈ります。 また人々は祝福の気持ちを表すために、お互いに花を生けることもあります。

日祭り(ジンポー族)

この祭りを代表する景颇族—木脑节は、歴史の中で進化してきた景颇族の人々の勇気ある性格を象徴しています。 歴史的なシンボルが描かれた4本の木柱を中心に開催されます。 最も華やかな光景は、何百人、何千人もの人々が何重にも重なり円形に踊るシーンです。

狩猟の祭り(トールン族)

山岳地帯に住む民族にとって狩猟は生計を立てるための手段であり、今でも歴史に残る古代の狩猟文化が数多く残っています。独龍族は、狩猟の前に平和と収穫を保つためにお酒と小麦粉で作った牛の形をした食べ物で狩猟の精霊を称えます。

薬神の会(チベット族)

雲南省は漢方薬の宝庫で古くからとても身近な存在であり、彼らの祖先は故郷の薬草を巧みに使って食生活に取り入れていたのです。 薬の神様である薬草への感謝の気持ちから、多くの民族が毎年、薬草を採取する旅を行い、薬草市場を開いています。チベット族の薬草の屋台では、人々は病理学、医学、地理、気象条件などについての会話に余念がありません。

戦争の神々の祭り(リス族)

戦乱が多かった少数民族の古代では、過去の戦争で民衆の勝利に貢献した民族的英雄が、戦争の神や守護神として崇められていました。 人々は、戦死した戦士を称えるために、これらの神々を祭祀の中で称えます。傈僳(リス)族の「刀とうす祭り(刀杆节)」では、高いはしごに登り、炭火の上を裸足で歩く習慣があります。 これらの試練や苦難は、剣に上り、火に下ることで、人々の勇敢な精神を示しています。

水の祭り(タイ族)

雲南省の多くの民族では、水は非常に貴重なものとされており、水にまつわる独自の儀式が行われています。中でもよく知られているのが、4月に行われるタイ族(傣族)の水祭りです。タイ族(傣族)は全員が仏教徒であるため、この祭りには宗教的な意味合いも含まれており、水を聖水として崇め、水をかけ合うことで友情を伝えるのです。 ドラゴンボートレースも祭りの一部であり、人々は一緒になって楽しい競争ゲームを通して、災いを取り除き、幸運を求めます。

祭社(ハニ族)

この「社」は大地に関連しており、大地から生まれるすべてのものを記念しています。 また、村や地域を守るための祭りでもあります。この日、ハニ族は村の中心部で儀式を行い、それを元に酒宴のテーブルを作り、中心部から外に向かって延々と続くのです。村の男性全員が出席することが義務付けられており、村の団結力を表しています。 このようにして形成された宴は、「長街宴」とも呼ばれ、男たちはグラスを掲げて、一体となって酒を飲みます。

太鼓の祭礼(ワ族)

太鼓は、雲南文化において最も意味のある工芸品です。 人々は一般的に、精霊とコミュニケーションをとるために太鼓を叩き利用しています。 古代、太鼓は心霊的なアイテムとして重要なものとして知られており、むやみに使用してはならず、儀式のために定められた日にのみ使用されていました。踊りが得意な ワ族の人々は祭りで叫んだり、太鼓を叩くなど一年の豊穣を祝います。

日本と似ている文化

現代でも雲南も日本も自然信仰が根強く残っています。山の神や海の神に留まらず動物や植物に対しても儀礼などが行われています。 その他にも食べ物も共通が多く、同じ野菜が採れ食習慣も驚くほど近いです。棚田の米(水稲)、納豆、豆腐、お茶、漬物等、雲南より伝来した説のあるものは多くあります。また、多様な少数民族は日本人と顔がそっくりな人が多く、私たち協会の現地での活動でもたびたび現地の人に間違われます。

ハニ棚田

雲南省の中央から南にあるハニ族の住む村の見事な棚田です。標高差約500mの間に1万枚を超える水田が広がる絶景は1千年を優に超える歴史とお米を育ててきました。この水田を守り生活を続けてきたハニ族の人々の技術は、日本にも同様に伝えられ日本の米作りに継承されています。

雲南省南西部の西双版納(シーサンパンナ)の標高1,500mを超える深山には、現代でも樹齢が1,000年を超える”茶樹”の原生林が延々と続いています。これは茶の樹が成長し高さが10mを優に超えており、少数民族が祖先より漢方薬として利用し大事守られてきています。お茶の発祥地とも一説として挙げられており、この茶樹の子孫が日本にも伝えられ日本茶へ進化したかもしれません。

豆腐

雲南省の南にある红河州の石屏は、豆腐の一大生産地です。日本の豆腐と全く同じ作り方ですが、ある特定の井戸水でしか採取できない水を使って作られています。見た目も味も日本の豆腐にそっくりで、食べ方も湯豆腐にしたり鍋に入れたり同じ食べ方ですが、雲南省独特の薬味の効いた味は病みつきになるほどです。

納豆

雲南南方のタイ族の納豆。作り方も日本と同じで、この他にも北方の曲請から昭通の地方では味噌と納豆の相の子の納豆味噌も名物で、この他にも発酵食品は豊富に作られています。

こんにゃく

こんにゃくも雲南名物で、納豆と同じく曲請から昭通の地方で作られています。

時代に翻弄される少数民族

古来より自作自農の生活だったことから、収入が少なく、いまだに無収入の人も多くいる少数民族の人々。

古くは、建物は土壁や木を組んだ家が多く、家具や電気も無く、全ての部屋が土間といった具合に最低限の住居に暮らす環境が当たり前だった。

しかし近年は、政府の支援により集合住宅など近代化が進む地区も増え、生活環境の改善は進む。

背後の山の上には住み慣れた故郷が。 辺境の地でも経済の発展が進みつつあるが生活環境の変化についていけない人や、教育の普及の遅れにより、格差が生まれています。

突然貨幣経済に飲み込まれた少数民族は、満足な収入を得る機会が少なく、高等教育を受けることができない少数民族の子供たちが沢山います。

同じ文化を持つ私たちだからこそできる思いやり

 今、雲南省の少数民族は生活文化が衰退する岐路に立っています。収入を得るための出稼ぎが急増し地域を守る人々がどんどん流出しています。それにより、農業や伝統が失われる地区が増えてきています。今、求められているのは少数民族地域の発展を担う少数民族地域出身の子供たちの高等教育を受ける機会を作ること。そして多様な世界の経験と知識を学ぶことを期待されています。

日本雲南聯誼協会「25の小さな夢基金」卒業式

輝かしい卒業式を迎えたこの少数民族の女子高校生たちは、故郷を支え守るために未来に向かい巣立っていきました。本来はほとんど収入の無い家庭に育ち高等教育を受ける機会は皆無でした。卒業後は、大学へ進学し、いつの日か日本の大学でも学ぶ機会がきっと訪れるでしょう。

日本雲南聯誼協会では、会員と共にこの子供たちの未来のための教育支援活動を行っています。多様性ある社会は、豊かな人材と環境を育む結果となることは、日本が証明しています。そして私たちは、教育が文化も多様性も守る大切な社会の役目と考えています。是非皆様の経験を活かし皆様の力で、この可能性のある少数民族の子供たちの教育支援へのご参加と、私たちと共に、この貴重な少数民族を文化を守ることについて考えてみませんか?

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